ガルガムワの英語教育特別塾校にてボランティアをすることになる
スリランカ北西部、ガルガムワ地方

このへん
ご覧のとおり、何もない場所です
道路もこんなかんじで
緑が多い茂る中に
村がちょくちょくある感じです

当初、スリランカの首都、
コロンボの友人の自宅のすぐそばにある
日本語学校で会話の相手をする
ボランティアをする予定でした
でも、この日本語学校から
予定していた日程の1週間前になって
急に連絡が途絶えてしまいました。
どうしたものかと思っていたところ、
このガルガムワで
英語の教育を住み込みで教える、
特別な塾校のような所でも
ボランティアを募集しているとを見つけました
早速コンタクトをとって、
申請をしたら、ありがたいことに
「是非きてください」と返事を頂き、
行ってみることにしました
首都、コロンボから、
クルネグラと言う学校の近くの町まで
バスで約2時間、そこからさらに
3-4時間のバスに揺られて到着

この英語の特別塾校は
The English Bank(以下TEB)と呼ばれていて、
スリランカ人の高校生が春休みを利用して
英語力を伸ばそうと
スリランカ各地から集まってきます
その生徒数、到着してあっけに取られました
16-17歳の
合計約300人
男の子約200人
女の子約100人
すごい熱気・・・

クラスは英語力別に3段階に分かれていて
Advanced(上級)
Intermediate(中級)
Beginner(初級)
となっていて、上級クラスはほとんどが女子
初級クラスは全員が男子
中級クラスはその中間みたいな感じでした

上級クラスの様子。一番前にいるホストのワサラに課題を見せにいく生徒達
ここで朝5時の仏教のお祈りに始まり、
夜11時まで泊り込みで
英語の猛特訓するのです

朝のお祈りの時間の様子
ボランティア初日、
学校の先生が声をかけてきました
先生といってもこの学校の卒業生、
優秀な成績を修めた彼女達は
ホスト兼学校長のワサラに頼まれて
英語を教えているそうです

彼女も先生の一人
彼女達も20歳や19歳で生徒と近い年齢です
特別に先生を雇う、というよりは
英語を教えるプライベートな塾という感じで、
先生の試験などはなく、
カリキュラムなどもなく
しっかりと体系だてられている
という感じではないようです
到着後、ホストのワサラから私が頼まれたのは、
女子生徒の会話の相手をして欲しいということ
女子生徒はシャイで、
なかなか英語で話そうとしない
休み時間や休日などに生徒と時間を過ごして
彼女達の会話の相手になってほしい
ということでした
うん、それなら出来そうだ!
さぁいよいよ明日から
ボランティアのスタートです!
授業をのぞいてみる・・・すると・・・
翌日、朝ごはんを食べると(もちろんカレー)

毎食もちろんカレー。豆カレー、干物の魚が入っているカレー、チキンカレー、野菜カレーなどいろいろ・・・

毎食作ってくれたニルー。ウマカラをありがとう!
英語の授業が既に始まっていたので、
私は生徒がどのように学んでいるのか、
昨日仲良くなった卒業生で先生の
アルニと一緒に
ちょっとクラスの一つをのぞきに行きました
まず、一番行きやすかった
2階で教えられている
初級のクラスにいってみると
・・・
男子生徒ばっかりだー!
私は一瞬で彼らの興味を引いてしまい、
わーっと囲まれてしまいました
私は自己紹介などしながら
彼らに話しかけるのですが、
英語が彼らから出てこない・・・
うーん、どうしよう
そうだ、
もう授業始まってる時間なんじゃないの?
もう、座ったほうがいいよ!
先生がすぐ来るはずでしょう!?
と声をかけると、
アルニも彼らに
現地のシンハラ語で言ってくれました
でもなんだか様子が変です
先生がいない、先生が来ない
・・・・
他の中級、上級クラスでは
とっくに授業は始まっています
私もアルニもなぜ?と言う感じです
でも生徒も先生がどこにいるのかは
全く知らないというありさま
まさかの先生、授業すっぽかし!?
そこで、アルニは
まぁそんなこともあるよね、
みたいな感じで、
かるく授業を始めようとしました
でも彼女も何をやっていいのか分かりません
そこで
そうだ!トシコ!あなたが授業やってよ!
は!?
そんな無茶ぶりな・・・
私は初級の生徒40人くらいの前に立たされ、
とりあえずの自己紹介をします
日本について知りたいことある人ー!
と質問を募りました。
何を話していいか分からなかったから
そうすると、10秒くらいの沈黙が・・・
この子達、そもそも私の英語通じてるのかな?
と思ったとき
一人の生徒が他の生徒とニヤニヤしながら
「トシコ!彼氏はいるの?」
と聞いてきました
あーあ、
どこの国でも興味があるところは同じなのね
それ関係なーい!
多分、生徒が私の英語を理解することは難しいから、
彼らが現地の言葉で出来ることはないか・・・
と思いをめぐらす私・・・
おお!国歌とか歌ってもらえばいいんじゃね?
と思いつき、まず私が君が代を独唱
(笑よくやったもんだ)
そして彼らにも歌ってもらうように頼みました
すると、全員が立ってくれて歌ってくれました
ナムォー ナムォー マーター
Namo Namo Matha
と言うサビが印象的だったので、
どういう意味?と聞くと
「マーターは母って意味だよ」
「スリランカは私達みんなの母なんだ」
へぇー他の歌詞の意味はどんななの?と聞くと
皆もじょもじょ話はじめて、
うーん、いろいろだよ!
国歌は長いんだよ!
とかなんとか
そうだよね。
ちょっとハードル高かったかしら
わたしも、君が代の歌詞の意味を
私が知る限りを全部言ってみました
生徒は分かったのか分かっていないんだか、
へぇーと言う感じで聞いてくれました
そこでまた話題が一区切り
このきまづい沈黙、再び到来・・・
どうしよう・・・
と思ったときに、ある生徒が一人
「トシコ!フェイスブックもってる?」
と彼は目をキラッキラさせて聞いてきました
もってるけど?
と応えると、スマホを取り出し、
私を検索しました
そして、その瞬間、
彼のスマホに、
アルニを含めて
生徒全員が集まってきました

まずい、皆その生徒のスマホに注目しちゃってる・・・
何だ、これー!?
もう、この瞬間から生徒は席を立ち、
私のフェイスブックページに釘付け・・・
話を聞いてくれるどころでは
なくなってしまいました・・・
授業になんてならないし
アルニも生徒に混ざって、
フェイスブックを見出して
授業の時間なんてそっちのけ
ああ、このままじゃ行けない
でもどうしたらいいのか分からない
生徒全員がフェイスブックを見て
面白そうにしている中
私一人がオヨオヨと変な汗をかいていました
アルニも自分のタブレットで
私のフェイスブックを見始める・・・
あなた、先生でしょ?

中央にいる女性がアルニ
そうしたら、ある生徒が一人
「トシコ!写真撮ろうぜ!」
と勝手にバチャバチャ
スマホで私の写真をとってきました
そうしたら他の生徒も、
オレもオレも!
と次々にスマホを取り出し、
皆私の隣に立って
ピースをして写真を撮っていくのです
もう、授業どころじゃないし
なんだかワケが分からなくなり、
私は呆然としていました
勝手に写真を取られることも不快だったし
やめなさいっていっても
まぁいいじゃんいいじゃん
みたいな感じで図に乗るし
こいつら、本気で怒ってやろうか
と思ったそのとき、
一人の生徒が、
「あ、バスが来た!」
と外を見ていいました
そうすると、他の生徒も、おー!と言って
皆テンションが上がっていました
そして、一人、
「じゃあ、先生オレ帰るね!」
と言って
仏教のひざまずいて
手を合わせるあいさつをして
教室から駆け出していきました
ひとり、またひとりと
今度は何だ?
するとアルニが
「今日は金曜日だから、生徒が家に帰るのよ」
え?まだ午前中だけど?そうなん?

道路の脇で次のバスを待つ生徒達
そして、ひとり一人挨拶をしてきて、
いつの間にか教室にいる生徒の数は
数えることができるほどの人数になりました

最後の最後まで私の写真を撮る生徒
そして授業は自然消滅。
かいさーんと言う感じでした
自分と先生達への憤り
もう、私はよく分からない感情で
頭と胸がいっぱいでした
私は授業をすっぽかした先生への憤りと
私が何も出来なかった自分がふがいない悔しさと
を感じながら生徒達をボーっと見送っていました
教えることってこんなに難しいのか
何か私はもっと出来たんじゃないか
生徒の関心のつかみどころを知っていれば、
ああ、あそこで
フェイスブックもっているなんて言わなければ
そもそも授業をやるなんて、
はじめから断ればよかったのに・・・
もんもん考え出しました
そしてめちゃくちゃな授業を横目に
自分も楽しんでしまうアルニに対して
人にモノを教える先生としての
プライドを疑いました
授業を何だと思ってるんだ、
いきなり写真を撮ってくるなんて
なんでアルニでさえ授業すっぽかしにして
生徒や先生はここに何しに来ているんだ・・・
でも、これってもう過ぎたことで、
自分が運営する施設でもないし、
彼らのやり方に任せればいいんじゃ?
私は昨日来たばかりの
ただのボランティアだし。。。
いやいや、出来ることをやりたい
彼らのためになることがあるはずだ
でも
私があの場であの瞬間に
他に何が出来たか・・
何をすべきだったのか・・・
何も思い浮かびませんでした

アルニや教えるはずだった先生も
彼らは彼らのやり方で
ああいう授業をしているんだろうな
中途半端な先生のスケジュール設定なんだろうな
それを改善しようともしなければ、
きっと悪いことだとも思っていない・・・
もっと良くなることがあるとも思っていない、
日本の教育現場を見たらいいのに
ん?
日本を見ると良い?
悪いことって何だ?
今、私、
何かをジャッジした・・・
日本のようにすればいい
日本の教育を見習え
みたいな考えだった
私が日本で経験してきたことが
正しい、彼らのためになる、と決め付けて
「授業はこうあるべき」
っていう概念を
彼らに押し付けようとしてる・・・
私がおもう、
「学校のこうあるべき授業」
と言うものを
彼らが同じようにやっていないから
それに対して、彼らの事情を考えもせず、
正しい、正しくない
で判断している。。。
そして一人でモンモン考えながら
イライラしている
自分が上手く出来ないからって、
一人で落ち込んで悔しがっている
そして
現地の先生達を責めようとしていさえする
これって自分にとって、相手にとって、
ハッピーなこと?
なんか違う気がする
たとえTEBの環境がぼろぼろで、
カリキュラムなんてなくても
彼らは彼らなりにやっている

卒業生の先生と生徒のメンター
そんな彼らの日常に
私がひょこっと顔を出しただけなんだ
わたしは彼らの授業を、
ここでの教育をよくしたいのではなく、
彼らのやり方に
ついていけなかった自分がいて
自分が何も出来なかったと
自分で決め付けて
そのふがいなさを勝手に感じて、
彼らにそのもどかしさを
自分が日本人であり
先進国から来た人間であり
英語が話せるというたすきを偉そうに掲げて
彼らに自分が思う「正しさ」を
ぶつけようとしていたんだと思いました
私はできることをした。
よくわからなかったけれど、
一生懸命なにかをやった
何を受け取るかは、
生徒も先生も含めて、彼ら次第
もう、それでいいんじゃないか?
日本を押し付けたくない
まず、人として、
彼らのやり方、
彼らの教え方を関心をもってみてみる
それをすることが、
ジャッジを下す前にやるべきことだ
そう思いました

後日、彼らと仲良くなり、これまた写真を撮る
この経験から学んだこと
社会で人と関わるとき、
どうしても先入観や
自分の中の「こうあるべき」像に
照らし合わせて物事を見がちです
自分は「知っている」と言う
おおいなる前提に疑いをかけもせずに
偏見は無知の子供ともいいますね
自分がなぜ
その提案をしているものが正しいと思うのか?
それって本当に彼らにとって、
スムーズに受け入れられることなのか?
相手の現在地と
自分の現在地を図って
相手に思いをめぐらせてみると、
お互いに気持ちの通った
コミュニケーションが叶うのかなと思います
自分の「正しさ」や立場を守るために
考えて行動するのではなく、
周りの環境にどのように自分が溶け込んで
どのように理解をしていって
そこでどう、相手に
自分自身を活かしてもらうことができるのか
自分を活かしたいのか
それが大事なんじゃないかなー
と思った出来事でした

TEBの近くのきれいな湖にて
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