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大嫌いな人がいました
私、親戚の94歳になるおばぁさんが
ものすごく苦手でした。
苦手というか、大嫌いでした。
転職やボランティアなど、
色々な活動をしている私の生き方に
いつも口を出してくるからです
その人は私に会うたびに、
「いい加減に就職して落ち着け」
とか
「アメリカまで行って
4年間何してきたんだ!?
フラフラしていたら
いつまでも結婚できないよ!?」
とか言ってくるからです
その人に会う年末年始、憂鬱でした
なぜ、
私のやりたい事をわかってくれないのだろう
私は自分らしく生きているだけなのに
自分の軸を見つけようと
もがいているだけなのに
今は昔と違って、アルバイトをしながら
自由にやりたい事をやっている人たちは
私のほかにも沢山いるのに
いつまでも考え方が古い・・・
なんで、時代の変化に対応できないのだろう・・・
と思っていました
でも、意外にも、ある異国で会った高校生達が、
長年の私の葛藤を紐解くヒントをくれました
シュコダルで気付いたあること
2016年7月、私は
アルバニアの北部にあるシュコダル湖を目指し、
ボランティア先から休日をもらい、
シュコダルに2泊する計画を立てました

シュコダル湖や、近くのコマン河のクルージングで、
手付かずの自然を是非見たかったからです
シュコダルに到着、コマンのクルージングも出来、
セルリアンブルーの鮮やかな河の色も堪能しました

実物はもっと鮮やかなコマン河
さすが、アルバニア!
46年間鎖国をしていた歴史もあり、
まだまだ手付かずの自然が沢山残っているのです

コマン河のセルリアンブルーの河に建つ民家での一枚
このクルーズのあと、
シュコダル城というお城の跡があるというので、
見に行くことにしました。
町を歩いていて気付いたのが、
カフェやレストランで朝から夕方まで、
コーヒーを飲みながら
一日中スマホを見ていたり、ボードゲームをする男性達
首都ティラナでも見かけました
なんで皆働かないの?
働く先がないからなのか?
でもフルタイムで働く先がなくても、
生活費を稼がないとやっていけないから
日本だったら日雇いのバイトとか
低賃金でも働こうとするよなぁ・・・
働かなくても暮らしていけるほど
豊かな人が多いのか?
いや、そんなはずない・・・
物乞いの人もいっぱいいるし、
ギリシャで沢山アルバニア人が
ギリシャに出稼ぎに来ている
って言う話も聞いた・・・
なんでこんなに働き盛りの男性達が
カフェで一日中スマホを見ているんだろう?
いたるところでスマホを見て
ボーっとしている大人たちのことが
気になって仕方がありませんでした
偶然出会った高校生達
シュコダル城に向かう途中、
ちょっとした公園があったので
ベンチに腰掛け一休みしていました
すると、隣のほうにあるベンチに、
高校生らしき子達がわいわいやってきて、
なんだか仲が良さそうに話し始めました
そこで、私は現地の人に
スマホを見っぱなしの大人の事を
聞くのが一番だろう!
と思って、彼らに話しかけました
現地の人と話すの好きだし!


(はにかみながら、応えてくれる男子が一人)



(皆はにかみながら笑う)

ねぇねぇ聞きたいことがあるんだけど、
なんでカフェで皆スマホずーっといじってるの?
(全員きょとんとする)

・・・
(皆顔を見合わせて、少し困った様子)






(みんな顔を見合わせる)

僕達は、学校でほかの国の事を学んでいるけど、
今の30代40代の人たちは他の国のことを知らないし




あの人たちには何を言ってもだめなのよ。
もう、ああやって、ずーっといるよ


(しばしの沈黙)







そう言ってくれるあなたみたいな人がいてくれて本当に嬉しいよ
アルバニアは小さいし、貧しい。
でもアルバニアのことぼくは好きなんだ
(他の女の子もうなづく)

隣のベンチに腰かけた縁だね!みんな!
この国が好きという気持ちが
ひしひしと伝わってきました
私の高校生の時とは比べ物にならないほど、
どの子もこの国を良くしていきたいという
力強い眼をしていました
何てたくましいんだ・・・!
色々応えてくれた男の子は歌が得意で、
歌って歌ってとせがんだら、
アルバニアの国歌を歌ってくれました
そして、周りの皆も
彼に合わせて歌ってくれました
最後に、写真を撮ろうというと、
じゃあこれだね!と
こういうポーズをしてくれました↓

あ、ピースじゃないんだ!?
なんでも、アルバニアの国旗にある
二頭鷲を手で表現したものだというのです
皆本当にこの国のことが好きなんだね!
アルバニアのために頑張りたい!
その気持ち受け取ったよ!
世代が異なれば育った時代も違う、育った時代が違えば、同じ国民でも価値観も違う
アルバニアは第二次世界大戦終結後
(1945年)くらいから、1991年まで、
ソ連の影響を受けた共産主義国家でした
そして、鎖国状態でした
今の日本のような価格競争はなく
国家が市場経済を統制します
つまり、
価格競争をする必要がないので
一生懸命働いて、
よりよいサービスを追及する
という必要もないのです
また、国外の情報もまったくなかったのです
鎖国で全く情報が入ってこない、
くわえて、サービスも物資も
全て国家が統率する共産主義の国家運営が
45年間も続いたのです
「自分達の生活は国家が面倒を見てくれる」
このような前提のもと、
今の20代以降の人たちは育ってきたのです
そういった時代を経験してきた世代は、
働くということが
どういったことなのか
分からないのも無理がありません
育ってきた環境が、
今の10代の子達とは全く異なるのです
私の友人は、とあるブルガリア人
(ブルガリアもソ連の影響下の
共産主義時代があった)から
ソ連の時の方が
安定して食べるものもあったし
働かなくていいから戻りたいというもいた
と聞いたといいます
そういった大人たちと、
私が今回話をした高校生達の考え方は
全く異なって当然なのですね
このカフェでボーっとしている大人たちと
一生懸命働くことで
おそらく国がよくなると信じている高校生達
前者のほうは私たちの眼には
怠け者に映るかもしれません
でも、彼らには彼らなりの時代を
生きてきたマインドがあって、
今の生き方があるのです
生きてきた時代が異なれば、「正しい生き方」も異なる
育ってきた時代背景のギャップが
如実に現れる彼らを見ていて、
私の94歳の親戚を思い出しました
彼女は、彼女の時代の
「正しい生き方」しか、おそらく知らない
他の働き方や生き方を知っていても、
おそらくそれを受け入れる柔軟性は
もうないのかもしれない
そう思うと、彼女が私に言っていた
「正社員で大企業に勤めること」
や
「早く結婚して
子供を生んで家族を持つこと」は、
彼女が育ってきた時代の
「正しい生き方」なのだと思います
それが、彼女にとっては最も安全で、
苦労しない生き方だからこそ、
私に口すっぱく言っていたんだ・・・
そう思いました
私の人格を否定しているわけじゃなく
私がやっていることが
気に入らないから言っているわけではなく
彼女が考えうる、
私にとっての苦労しない生き方を彼女なりに
一生懸命に示していただけなんだ・・・・
そう思いました
私が幸せになることを
ただただ彼女も望んでいるのです
私は、94歳の親戚に
親戚は自分のことを分かってもらくれない!
なんでだ!?
と思っていました
ですが、それはきっと
分かってもらえない、と思うのは、
私が相手を理解していないからだ、
と思ったのです
どんな時代も変わらないもの
時代はめまぐるしく変わってきます
でも、その中でも変わらないものもあります
それは、きっと
家族に対する思いやり、
相手を心配する気持ちなんだなと思いました
ひとり一人、
一生懸命に生きてきた
苦労をしてくることもあった
だからこそ、自分が味わった苦労を
大切な家族にかけたくない
だからきつい言い方かもしれないけれど、
不器用ながら、家族は
おせっかいに指摘するのかもしれませんね
あなたの家族は、
どこで、どんな時代を生きてきた人ですか?
今日この日を
一生懸命に生きている家族に
どんな言葉をかけますか?
思いやりと温かい心が通じ合って、
あなたの家族が笑顔になりますように